blog行雲流水

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第9回よこはま「万作・萬斎の会」

2008/06/23(月) 00:47 野村萬斎

よこはま「万作・萬斎の会」を観に行ってきました。

解説
石田幸雄
魚説法
新発意:野村裕基、施主:野村万之介、後見:野村萬斎
箕被
夫:野村万作、妻:石田幸雄、後見:月崎晴夫
狂言芸話
野村万作
千鳥
太郎冠者:野村萬斎、主:高野和憲、酒屋:深田博治、後見:竹山悠樹

私的メインは何といっても狂言芸話。
これがあるからよこはまはいつも競争率高いんだと思うんですよね。私去年ファンクラブの先行外れて行けなかったですもの。
今回も万作さんは途中からマイクを使わなくなってしまいました(^_^;
いつにも増してマイク使わなくなるの早かったなーと思います。使ったのは最初のほうの2、3言くらいといっても過言ではないような。
本日の議題は「面」。武悪の面2つ(2ヶ月くらい前に買ったばかりのと古くからあるもの)、乙の面2つ(ノーマルのと過剰に凹凸がデフォルメされていて見ただけで笑えるの)を見せてくださいました。
買ったばかりの面と昔からの面では艶感が違いました。使われ続けて磨かれたものと、薬塗りたてという感じの艶はこんなに違うのかと驚きます。
面を持つ時は紐が通っている耳の辺りだけを持ち他の場所は持ってはいけないという話をしてくださったのですが、日本大好きシラク大統領に森首相が能面をプレゼントに持って行ったら「能面はそのように持つものではありません」と怒られたという話を思い出してしまいました。
あとは面の紐を結ぶ位置が、万作さんたちと能のシテ方の方達で結構違うんだそうです。万作さんとかは結構頭の高い位置(頭周りの一番大きな場所からちょっと上のほう)で結ぶんですが、シテ方ではそれより数センチ下に結ぶ人もいるとのことです。
僕らからしたら落っこちそうで怖いんですけどね、と万作さん。
また、「父は面を打っていたけれど半分以上が能面で狂言面は50かそこらしか打ってない」そうなんですが、その理由が興味深かったです。
万作さんが小学校の頃はまだ狂言の興行が少なくて生活が苦しかったそうなんですが、アメリカのダンサーさん(ショーダンサーみたいな方。名前をおっしゃってたけど聞き取れず)が能面を集めているということで生計を立てるために能面を打っていたんだそうです。
ただ、「その方のおうちにもお邪魔しましたが、般若の面の角の部分に帽子がかかってました」とのことで場内爆笑。た、確かに帽子掛けには丁度いいかもしれないですけど…それ能面…
他にも公演がない日には根付などを作ったりしていたんだそうです。大変だったんですねぇ…
また2つの乙の面に関連して、面を使用する際(買う際だったかな?)には品のあるものを選ぶようにしているそうです。ぱっと見で笑わせるのではないと思っているからとか…詳細が思い出せませんが。
乙の面の時には乙が顔を出した時のぶりっ子ポーズを披露してくださったり(紋付で直面でも十分かわいらしかった!)、ごそごそやってるので何かと思ったら腕時計が出てきて「もう時間ですね」と言ったり、失礼ながら今日も万作さんは可愛らしかったです。

解説の石田さんは「皆さん狂言芸話をお目当てにされてると思うので解説は短めに」とか言って簡単な解説でした。
今回の公演での見所は裕基くんから万作さんまでいろいろな世代が出演すること。見たことがある曲であっても演者が変われば見え方も変わるので見比べて欲しい、というようなことを言っていました。
魚説法は裕基くんがきっちり台詞を覚えていて澱みなく出てくるのが凄いなと思いました。今何年生?
語りの部分が結構長いので大丈夫かなーと思いましたが問題なかったですね。後見の萬斎さんも顔が怖くなかったです。
箕被は、夫も夫でぽわぽわしてるというかずれてる感じですけど、嫁さんもちょっとずれてるように見えました。下の句をつけずに戻ったら父様に怒られるかも、みたいな事言って離縁された夫の家に途中で引き返すのとか。
終わり方がちょっと不思議な感じでしたが、舞って「こちへござれ」でめでたく終わるという感じですかね。
万作さん・石田さんコンビはいつ見ても安定感ありだなーと思いました。
千鳥は、どうも久しぶりに和泉流の千鳥を見たようです。
大蔵流の千鳥が頭に残っていたので、流鏑馬の際に棒(座頭がつく杖と同じやつ)を使わないんだなぁとか太郎冠者VS酒屋での太郎冠者の動きとか結構違うような気がするなーと思いつつ見ていました。
最近見たのは多分茂山家のなので、茂山さんちがサービス演出だった可能性もありますが。

5/25マチネ「わが魂は輝く水なり」

2008/05/26(月) 00:51 野村萬斎

5/25マチネ「わが魂は輝く水なり」観てきました。
最後の観劇なのですが、もう見られないのがとても残念です。初回観劇から回を重ねるごとに自分なりの解釈ができてきて、この舞台にどっぷり浸かり始めたところなんですよね…

斎藤実盛…野村萬斎、斎藤五郎(亡霊)…尾上菊之助、斎藤六郎…坂東亀三郎、
藤原権頭…津嘉山正種、郎党時丸…川岡大次郎、巴…秋山菜津子、ふぶき…邑野みあ、
中原兼光…廣田高志、中原兼平…大石継太、郎党黒玄坊…大富士、平維盛…長谷川博己、
乳母浜風…神保共子、城貞康…二反田雅澄、
木曽兵/平家の兵…清家栄一・岡田正・高橋広司・井面猛志・篠原正志・時田光洋・関戸将志・高橋行・中村大輔・安齋芳明・加藤亮佑・窪田壮史

まず今日はカテコがこれまで観た回のカテコより1回多かったです。
最後のカテコは出演者皆が手をつないで挨拶。萬斎さんはじめ皆さんニコニコでした。前の方はほとんどの方がスタオベ。前のほうにいたので後ろのほうの様子は分からなかったけれど、どうだったのかな。
巴と実盛との最後の夢のあたりから涙腺に来ていたので大変でしたが、本日は何とか立てました。
あと開演前に関係者用のチケット引換場所近くに蜷川さんがいらしていました。感想言ってたファンの方もいたようです。蜷川さんはあの後観劇されたのでしょうね。

昨日の感想を読み返してみると、なんだか良く分からない書き方になっていました。
この舞台って、いざ文にして思いをまとめておこうと思うとなかなか思ったようにまとまらなくて、…難しいです。

今日も見ていて、やっぱり五郎は実盛が生み出した幻だったのかもしれないなぁと思いました。
といっても完全に妄想かというとそうではなく、半分は五郎の魂であとの半分は実盛の深層心理というか何と言うか。
若く、思うがままに森の国へ走った五郎。パシャパシャと水音(もしくは若き魂の音か?)を立てて縦横無尽に森を征服する様を見て嫉妬の念を覚え意地で山を降りた実盛。
嫉妬する若さを「亡霊」の五郎として作り出し、冷やかしや憎まれ口を叩きながらも居なくなってしまうとそれを追い求めていたように思いました(五郎への親子の情もあったと思いますが)。
もしかすると巴の元へ走った男に対する嫉妬のようなものも混ざっていたのかもしれません。
巴との夢や合戦を経、最期に若者の成りをしようとして滑稽になった姿を五郎と一緒に笑い飛ばしたことで、若さへの嫉妬を吹き飛ばした。
すると実盛の中で時が逆流し、混濁する意識の中で、昔の森の住人達がたてたのと同じパシャパシャという水音つまり若さが実盛の心に満ちていったのかなと思いました。森の国の住人達と一緒になって森を征服していたのかもしれません。

「狂気」については、実盛が言っているように、戦いの中ではなんらかおかしくなってるのが正常で普段のままなのが狂気なのでは?と思いました。
だって人がどんどん死んでいくんですから。特に源氏方はどんどん敵を殺していくんですし、無残な光景や罪の意識などからいつもと気が違ってきていても仕方がないような。
倶利伽羅の地獄谷を目の当たりにして、泣いているかのように死人の目玉が腐っていくのが嫌だという兼光の意見はあの場においてはいたって正常な気がしました。自分が殺したわけじゃないけど魚の目が気持ち悪くて魚を調理できない人だっていますし。
むしろ、富士川や倶利伽羅でたくさんの味方を殺しておきながら「前と後ろ、その間の生き方をどうしてしてはいけないのか」とか平常時に言うような事を冷静に言ってる維盛の方がおかしく見えます。
「馬が怖いと言ったからと義仲殿を気違い扱いできるのか、もっといびつな人だっている」と五郎が言うとおり、どれもおかしくないのかもしれませんけれど。

実盛と巴の関係の深さが、分かったようで分かっていないような状態です。
五郎を通しても(義仲の代わりを五郎に求めたという下りで「巴殿は私を通して違うものを見ていた」)六郎を通しても(六郎を殺そうとしたところで「五郎か?…いや、実盛殿」)巴は実盛を見ていたんですよね。
最後の夢は巴も見たようなそぶりなのですけど、巴と実盛が出てくる全ての夢を両人ともに見ていたんじゃないか、と考えるといったいどれだけ絆が深いのか…と。
巴が何故実盛にあそこまで惚れたのかが良く分からないんで消化不良気味。理由は不明だけど惚れたのねということにして観ればいいんですけどね。
「私をあの頃に戻してくれるのは実盛殿だけ」というのは、実盛が梢を一緒に見た時からずっと変わっていない様に見えたからなのか、それとも巴に「昔と変わった」と言わなかった最後の一人が実盛だったからなのか…

あとなんか考えたことがあったけど忘れちゃいました。
…結局、今日もあんまり感想がまとまってませんね…まとめて言おうとすると難しいんだなやっぱり…

そういえばどうでもいいけど萬斎さんのヒゲは自前なのですね。本番はごま塩メイクしてるのかな。亀三郎さんのblog写真つきの記事が載ってました。
萬斎さんが不思議な服を着ているように見えるのは…いつものことでしょうか。服装についてはもう、何が来ても驚かないですな。

5/24マチネ「わが魂は輝く水なり」

2008/05/24(土) 21:43 野村萬斎

5/24マチネ「わが魂は輝く水なり」観てきました。
あと1回観ただけで理解できるかどうか疑問だったため急遽チケットを譲っていただいたのですが、観に行って良かったです。

斎藤実盛…野村萬斎、斎藤五郎(亡霊)…尾上菊之助、斎藤六郎…坂東亀三郎、
藤原権頭…津嘉山正種、郎党時丸…川岡大次郎、巴…秋山菜津子、ふぶき…邑野みあ、
中原兼光…廣田高志、中原兼平…大石継太、郎党黒玄坊…大富士、平維盛…長谷川博己、
乳母浜風…神保共子、城貞康…二反田雅澄、
木曽兵/平家の兵…清家栄一・岡田正・高橋広司・井面猛志・篠原正志・時田光洋・関戸将志・高橋行・中村大輔・安齋芳明・加藤亮佑・窪田壮史

今日は実盛と五郎が顔を見合わせて笑うところから胸にぐっと迫るものがあって、それ以降実盛と五郎に感情移入してしまって大変でした。
「にがい関係」でもある実盛と五郎が最期に顔を見合わせて心から笑っているのは、2時間40分中ここが最初で最後なんですよね。
実盛の持つ昔の「森の住民」の輝きに魅せられた五郎と六郎。六郎は生きているゆえか性格の違いゆえか父をなじるようにして維盛たちと共に行きますが、五郎は憎まれ口を叩いたり叩かれたりしつつも実盛と共に居て、それは何故なのかと思っていました。
「木曽へ帰ろう」「戦いが終われば昔に戻る」「時が逆行して…」と巴や兼光が求めたものが、屈託なく笑う外見が若返った実盛と五郎の間にあったのだなと思いました。
そういう意味で、「妄想の兄上」というのはあながち的外れではなかったのかもしれないと思いました。
「化け物ー!」と言って去っていく木曽軍に「わしの正体を言い当てた」みたいなことを実盛が言うので、自分で自分が狂っていると思っていたのではないかと。

連合赤軍とかは自分は知らないので(カップラーメンのCMで機動隊?がカップめんすすってるのは見た)、実盛親子の関係に焦点を当てたほうが分かりやすい舞台でした。
あと今日は真ん中の通路よりも後ろで見たので、通路を使った演出も全て観ることができて良かったです。
距離的にも、舞台全体をちょうど良く見渡せる席でセットの美しさなどが堪能できました。木々の薄幕が特に綺麗でしたね〜。
役者は客席前近くでの演技も多いので前の席もいいのですが、真ん中よりちょい後ろくらいで見るのも良いなと思いました。

そういえば今日も時田さんを発見できませんでした…
どの辺りにいるんだろう。探すには前のほうの席じゃないとダメでしょうか。

5/10わが魂は輝く水なり

2008/05/10(土) 20:41 野村萬斎

わが魂は輝く水なりパンフ

蜷川幸雄演出「わが魂は輝く水なり」観てきました。

斎藤実盛…野村萬斎、斎藤五郎(亡霊)…尾上菊之助、斎藤六郎…坂東亀三郎、藤原権頭…津嘉山正種、
郎党時丸…川岡大次郎、巴…秋山菜津子、ふぶき…邑野みあ、中原兼光…廣田高志、中原兼平…大石継太、
郎党黒玄坊…大富士、平維盛…長谷川博己、乳母浜風…神保共子、城貞康…二反田雅澄、
木曽兵/平家の兵…清家栄一・岡田正・高橋広司・井面猛志・篠原正志・時田光洋・関戸将志・高橋行・中村大輔・安齋芳明・加藤亮佑・窪田壮史

どういうことを言いたいのか、という点についてはまだ咀嚼しきれていないところがあるんですけど、結構好きな舞台です。
出演者の方は皆さん演技が上手いなーと思いました。特に素晴らしかったのは秋山さん。巴はこのお芝居のキーパーソンだと思うので巴がしっかりしていないと観るのが苦しくなるような気がします。
津嘉山さんは最初は出番多くていいんですがだんだん出番が少なくなってる?ちょっと勿体無いような気も。
亀三郎さんは叫び系の台詞が多いので大変そう。演出上叫ぶようになっているんでしょうか。
菊之助さんは品のいい優しげな声で生きている人間とはちょっと違った感じ。
萬斎さんはいつもどおりかなーと思ったんですが、なんとなく鞍馬天狗入っているような雰囲気もありました。同じ時代劇だからそう思ったのかな?

場面展開がスムーズだったのがとても印象的です。薄幕を下ろしたかと思うとすぐにセッティングが変わってました。
あと蜷川演出の時代劇って初めて観たので、蜷川さんが時代劇の舞台を手がけるとこうなるのかーと思いながら見ていました。ギリシャ劇の印象があったのでコロスがいないのが新鮮…当たり前ですが。
基本的にはシリアスな展開ですが、実盛&五郎や維盛が出てくると割とお笑い系に。マンガみたいなネタを実写でやってくれるのが面白い。
五郎が見える実盛と見えない他の人々のお約束なやり取り、そして何といっても一人でぽわんぽわんしているいかにも平家の公達な維盛がおかしいです。特に維盛はいいキャラしてます。
しかし他の登場人物も皆キャラ立ってましたね〜。そういうところもマンガっぽいと感じるのかもしれません。
また、木曽義仲の設定も面白かったです。史実といわれるところとは違っていますよね。義仲が義仲でない、本人は登場しないのが面白い。
話は「水」がキーワードになっていて、「心に沼がある」とか「老いて乾いた肌」とか、海がいろいろに表情を変えるという感じの海辺での巴・ふぶきの会話など、意味するところはなんとなく分かるような気がするんですけどまだ完全に理解できてないんですよね…。
喉元まで来てる様な気がするんですけれども。義仲軍の狂気、そして髪を黒く染め若武者を装って最期の戦いに身を置く実盛。
また25日に観に行くので、もうちょっと考えてから観に行きたいと思います。

鞍馬天狗最終回をやっと見た

2008/04/30(水) 02:13 野村萬斎

放送から約2ヶ月、やっと鞍馬天狗の最終回を見ました。
見ようと思えば見る時間は作れたんですが、なんだか最終回を見てしまうのがもったいないような気がして今までずっと最終回だけ見るのを引き延ばしていました。

予想通り、とてもいい最終回でした。
萬斎好きとしても、新撰組好きとしても、幕末好きとしても、そしてもちろん「木曜時代劇鞍馬天狗」好きとしても満足です。

近藤勇、杉作、吉兵衛、桂、ほとんどのキャラクターがそのキャラクターらしく描かれていて良かった。
それと同時に、勧善懲悪ものの時代劇では見られない、ヒーローである鞍馬天狗の人間らしい弱い部分を描いたところがとても良かったです。
普段は飄々と品のある鞍馬天狗が、痛々しい外見に壮絶な色気を纏っていたところがまた良い。こういう演技は萬斎さんの十八番ですね。
倒幕側の脱藩浪士も佐幕側の新撰組も、どちらも方法論が違うだけで同じ信念を持つ者として描かれていたのは幕末好きな自分には大ヒット。
斬り合いを善悪ではなく信念のぶつかり合いとして描いたところがいいですね。志士たちが一度斬られても立ち上がってくるところに特に強い想いを感じました。斬った後の近藤の表情から命の重みが伝わってきてここも良かったです。
最後の近藤VS鞍馬天狗も、善悪の対決ではなく文字通り「好敵手」としての対決になっていたのも嬉しかったですね。
そして杉作の演技や描き方が凄い。子役とは思えない演技力。自分の勇気を認めて優しいまなざしを向けてくれていた新撰組局長近藤勇に「卑怯だよおじさんは!」なんて並みの覚悟では言えません。

とにかくすごく良い最終回で、いろいろ語りたいことはたくさんあるんですけど、何故だか全然文章にまとまりませんでした。
鞍馬天狗=倉田典膳と言うのが白菊にも近藤勇にも分かってしまったので続編は難しいのかもしれませんが、できれば続編作成を(役者は同じでお願いしますよ!)、そしてすぐにでも再放送して欲しい気持ちでいっぱいです。
最近の大河ドラマとか、どの辺が時代劇なのか全然分からなくて正直見る気が全くしないんですけど、こういう時代劇らしい時代劇をNHKにはもっと作って欲しいなと思います。
ちゃんとした時代劇が見たいんですよこちらは…

今考えてみると、鞍馬天狗の放送が自分にもたらした最大の影響は
「近藤勇=緒形直人」
しか考えられなくなってしまったことですね…。理想の近藤勇像として頭から離れません!

ござる乃座39th

2008/03/02(日) 01:30 野村萬斎

ござる乃座39thパンフ

ござる乃座を観に行ってきました。
今日は東京体育館でバレーボール、国立競技場でJリーグの試合があったようで千駄ヶ谷は混み混みでした。

狂言「内沙汰」
右近:野村萬斎、妻:石田幸雄、後見:高野和憲
狂言「因幡堂」
夫:野村万之介、妻:深田博治、後見:野村良乍
素囃子「男舞」
大鼓:柿原光博、小鼓:鳥山直也、笛:栗林祐輔
狂言「塗師平六」
塗師平六:野村萬斎、師匠:野村万作、妻:高野和憲、地謡:竹山悠樹/深田博治/石田幸雄/月崎晴夫/時田光洋、後見:岡聡史

パンフレットの今回の寄稿は「鞍馬天狗」で共演中の石原良純さん。
初対面のメイク室、萬斎さんに矢継ぎ早に質問を浴びせたらしいです。1つ1つ答えてくれる萬斎さんの声が実にいい、とのこと。
あとは萬斎さん最初のほう全然NGを出さなかったらしいです。良純さんは土方歳三を「さいぞう」と何度も間違えたらしい…
あと良純さんは東洋医学の知識もあるらしく、寒い撮影所で萬斎さんの背中のツボ「大髄」に貼るホッカイロを貼ってあげたそうです。
しかし、その鞍馬天狗の撮影中、萬斎さんにハプニングが起こってしまったようで…
萬斎さんの挨拶文の中に書かれていたのですが、鞍馬天狗宣伝のために出た番組で撮影中左足の親指の爪をはがしたことを良純さんにバラされたそう。
さすがの萬斎さんも当時はろくすっぽ歩けず、しかしござる乃座38thは迫ってるしで青くなったそうですが、包帯を巻いたまま履ける足袋を用意して乗り切ったそう。見所にもほとんどばれなかったそうです(アンケートから推測したのでしょうか)
現在は通常の1/3ほど生えた状態だそうです。
読んだだけで痛い。時代劇は靴履かないからなぁ…萬斎さんも大変だったんですね。前回公演見に行かなかったのは失敗でした。

狂言「内沙汰」は、大蔵流では「右近左近」。
和泉流では最近は万作さんくらいしかやらないとか萬斎さんの挨拶文にありましたが、確かに大蔵流の月見座頭を演じちゃう万作さんはこういうお話好きだろうなと思いました。
善竹弥五郎さんの右近左近は半泣き・半笑いの自嘲的な工夫をしていて狂言としてはとてもリアルだったそうだ、と挨拶文にあったのですが、萬斎さんの右近も最後の笑いや叫びの伸ばす音の出し方に自嘲的な物悲しさがありました。表情もとても真剣でしたし。
しかし、途中妻と裁判の練習をしていたところはすごい面白かったです。
左近の牛が右近の他の稲を食べてしまったので年貢を左近に肩代わりさせた上牛を自分のものにする、と地頭に訴えでると意気込む右近。妻にアドバイスされ二人で裁判の想定練習をするのですが、右近が左近と自分の2役を演じるんです。
それが、地頭と懇意な左近役をやる時には自信たっぷりなのに、地頭となんのコネもない自分の番になるとおどおどしっぱなし。自分なんだから、右近の役の方が出来ていいはずなのにビビりまくって全然ダメ。本番でビビらないために練習してるのに…
左近と懇意な仲っぽい妻も(右近が邪推しただけかもしれませんが)、地頭として左近には懇意に右近には冷たく当たるもんだからますます右近が哀れでした。
1人2役が面白い話なんですが、妻と左近が普通の関係じゃなさそうなところは気の毒で、からっとした狂言の笑いとじめっとした現代劇の笑いが混じっている、珍しい曲だなと思いました。

因幡堂は、以前も見たことがある狂言。
妻と離縁して新しい妻を娶ろうとする夫が通夜を行うが、追っかけてきて神仏を騙った元妻を新しい妻と思って娶ろうとする、狂言の典型的な話。妻が酒飲みで怠け者なところが他と違う感じでしょうか。
新しい妻に扮した妻が、夫と杯を交わす際に酒を飲みまくるのがおかしい。
あと妻役の高野さんの装束が青で珍しいなと思いました。かなり濃い目の青だったのですが、女性の着物でここまではっきりと青い装束は見たことがなかった気がします。新しい装束なのかな。
男舞は現実に生きている武士などが舞う際の曲。リズミカルで勇壮な曲でした。こういう曲好きです。能も合戦ものとか武士が出るもの好きですし。

塗師平六は、妻が非常に賢くてしっかりものなのに夫の平六が単純なのがすっごいおかしかったです。
師匠が弟子の平六を頼って訪ねてきたところを、対応した妻は師匠に居座られると夫の仕事がなくなっちゃうと思って平六を死んだことにしちゃうんですが、そこに何も知らない平六がやってきて「おなつかしゅう〜」とか言ってしまう。
妻が「平六は細工がそんなに上手くないけど他に塗師がいないから仕事がある」なんて身も蓋もないことを言っちゃうのが非常に女性らしいと言うかなんと言うか。でもしっかり夫の心配して言ってるところに愛があっていいですね〜。
また師匠の前から平六を連れ出して、「これこれこういうことだから死んだことにするよ」と言うんですが、平六がお師匠さんに不義理は出来ないしと悩むと、妻は「じゃあ幽霊として師匠の前に出なさい」と、平六を気遣って、師匠の前に出られるような策を出すのもいいですね。
しかし平六、幽霊になれと言われたら本当の幽霊みたいになって出てきたのがおかしくておかしくて。
さっき師匠の前にうっかり出てしまった時には普通の人間っぽく出てしまったくせに、いきなり幽霊っぽくなって出てきたらどっから見ても怪しいじゃないですか〜。舞う平六を見上げる師匠はきっと「こいつ生きてんな」と思ってたに違いない。
幽霊の振りをした平六が出てくるところからは夢幻能の形式をパクっているのですが、塗師平六と能とでは幽霊になる理由が雲泥の差なのがおかしすぎです。

わが魂は輝く水なりチラシ

右の画像は、パンフに挟まっていた「わが魂は輝く水なり」のチラシ。
Webで小さい画像を見かけて「この写真、いい!もっと大きな画像で見たい!」と思っていたのですがやっとチラシを入手できて嬉しかったです。
最初、小さい画像で見ていたときには左の人物が萬斎さんなのかと勘違いしてしまったんですよ。萬斎さんは右の老武者だったんですね。
チラシを見ると菊之助さんと萬斎さんが親子役なんだそうですが、この二人似てます。蜷川さんは似ているからこの二人をキャスティングしたのかなーと勘繰ってしまうくらい。
萬斎さんの老けっぷりがいいですね〜。あと平家を表す赤い布が風に靡く様が美しい。
右の画像では見えないと思いますが、菊之助さんの目が青いです。木曽義仲の元に走って存命の六郎役なのかと思っていましたのですが、亡霊となって実盛の側にいる五郎役なんですね。

木曜時代劇「鞍馬天狗」第4話

2008/02/07(木) 23:43 野村萬斎

今日は早めに帰宅したので、今日放送の鞍馬天狗の録画を見ました。
…今季2度目のPC故障で仕事が出来なくなりまして…。置く場所を移動させて置いたとたん画面が黒くなり、何度電源入れてもHDDのランプがつきゃしません。とほほ。

今回の鞍馬天狗は、萬斎さん狂言技法使いすぎ!…と思いました。
思わず「烏かよ!」と突っ込んでしまいました。3回跳んだわ3回。跳ビ返リの型もありましたし。
またCGが少なくなって個人的には良かったです。刀の振り跡がなくなってカラスの羽くらいになりましたかね。鞍馬天狗登場時のお決まりVTRもなくなってました。
石黒賢が商人役で石原良純の桂小五郎に会うと言うのは面白い配役でした。以前、何かの時代劇で石黒さんが桂小五郎役やってましたもの。そうきたか!とニヤリとしちゃいました。
そして局長は今日もシブカッコ良かった。いいですねー見るたび局長に惚れちゃいます。
最後、鞍馬天狗と対峙して少し刀を交わした後の山嶽党との対決では、剛の近藤勇と柔の鞍馬天狗という非常に対照的な斬り合いが見られて面白かったです。
そして斬り倒しながらも山嶽党に囲まれて二人背中合わせに追い詰められちゃったイイところで「つづく」。気になり過ぎる…!

しかし気になるのは鞍馬天狗公式サイト。
第4話見た後に行ってみたら、「次回予告」がもう、ネタバレし過ぎじゃないですかってくらい丁寧に書いてあって少しガッカリ。
第5話前半を余すところなく書いちゃった感じになっているような。うーん…
でも来週も天狗と局長がタッグを組んで山嶽党と対決するようなので楽しみです。
倉田典膳、はじめは新選組をあくと思っていたきらいがありますが、近藤勇と接するうちに考えが変わってきたりするんでしょうか。
最終的に相容れることがあるのかどうか…特に近藤には新選組局長という立場があり、隊士をたくさん斬られているのですんなりとはいかなそうですが、最終話の頃にはどうなるのかまだまだ予想がつきません。

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